相手がいる自動車事故の場合、事故相手の中には
「この車は気に入っていて、修理しても乗りたい」
「これっぽっちの保険金じゃ修理費賄えないし
生活の足なんだから、あなた払ってよ」
と、相手の人が示談交渉に応じてくれない
ことがあります。
相手の車を壊してしまったら
その賠償金を支払うのは必要はあります。
しかし法律上、賠償責任には一定の限度があります。
それでも限度を超える金額を要求された時に、
対物全損時修理費用特約があるんです。
保険会社によっては、対物超過修理費用特約
と別名で呼ぶこともありますが、中身は同じです。
この特約を付帯していると
修理費用が、修理したい車の時価額を超えた場合に
修理をして乗り続けるなら、相手の車の修理代の
差額分を最大で50万円まで支払われます。
時価額か修理費×過失割合の安い方で支払えば良い
この特約を解説する前に、対物賠償保険が
相手にどう支払われるかといいますと、
相手の車の時価額か
修理費に過失割合を掛けた金額
相手はどちらか安いほうを受け取ります。
わかりやすく、例をあげますね。
- 次の過失割合の事故が起きたとします。
あなた:相手=4:6 - 相手の車の修理見積は100万円
- 保険会社は相手の車の時価額を30万円と評価
過失割合を掛けると修理費は
100万円×40%=40万円となります。
時価額と修理費を比較すると、
時価額のほうが少ない金額なので
この事故では、あなたの対物賠償保険で
30万円支払われます。
自動車保険では
修理費×過失割合と相手車の時価額の
2つを比較して、金額の低いほうで
支払うことになっています。
相手車の時価額は、型式と年式を元に
中古市場の価格を算出しています。
対物賠償保険は
「中古市場で30万円で購入できるなら
わざわざ40万円掛けて修理する不要だよね」
という考え方です。
対物全損時修理差額費用特約は修理して乗るなら支払われる
相手の方が30万円で納得してくれれば
解決するのですけど、実際には
「修理して乗り続けたいのに足りない」
「買い替えの足しにもならない」
と、示談に応じてくれないこともあります。
「ぶつけたてきたのはアンタなんだから
買い替え費用を負担しろよ!」
なんて、法的な賠償責任を超える要求を
されることもあります。
過失割合が10:0ですと
責任を感じてしまうかもしれません。
法的には、賠償責任は済んでいると拒否すれば
相手も強硬になる恐れがあります。
示談交渉が纏まらなければ
何度も保険会社と連絡を取ったり
あなた自身も、車の修理ができないなど
不都合が生じてしまいます。
そこで、対物全損時差額修理特約で
本来賠償責任は済んでいるが、差額の修理費を
あなたの過失分だけ追加で支払うことが
できるようになります。
ただし、この特約は
相手が修理をしてでも乗り続けたいと
主張したときです。
修理せずに、買い替えをするなら
時価額までを対物賠償保険で支払って
残りは相手の車両保険か自腹で
負担してもらうことになります。
過失割合を計算して最大50万円まで支払い可能
差額修理を支払うといっても
すでに伝えたとおり、賠償責任の金額を
超えた支払いですので、保険会社も
全額支払うことはありません。
対物全損時差額修理特約では、以下の式で
計算された金額で、上限50万円まで
支払うことが一般的です。
差額修理代=(修理費ー時価額)×過失割合
上の事例では、修理費100万円
時価額30万円、あなた側の過失割合30%
としましたので、21万円を相手に
追加で支払うことができます。
差額修理代=(100-30)×30%
=21万円
差額修理代は、最大でも50万円までと
上限が決められていますが、本来は
賠償責任を超える金額の要求です。
「賠償責任以上の要求は関係ないし
保険料を抑えたい。」
という考え方も、ありです。
しかし、付帯しておけば、万が一の際に
示談交渉を円満に進めやすくなりますよ。
対物全損時差額修理特約の保険料は年間数百円
対物全損時差額修理特約を付けたとしても
保険料は年間数百円のUPで済みます。
実際に、SBI損保でシミューレーション
してみましたので、ご紹介します。
シミューレーション条件
31歳独身女性が、初めて車を購入
本人以外に運転する人はいないと仮定。
契約車両 | 2010年式パッソ |
---|---|
年齢条件 | 26歳以上 |
運転条件 | 本人限定 |
証券不発行割引 | あり |
ゴールド免許割引 | あり |
ノンフリート等級 | 6S |
対人賠償保険 | 無制限 |
対物賠償保険 | 無制限 |
他車運転特約 | あり |
人身傷害保険 | 車内外補償タイプ 5,000万円 |
搭乗者傷害保険 | 1,000万円 |
無保険車傷害保険 | 2億円 |
自損事故 | 1,500万円 |
車両保険 | 一般タイプ 45万円 |
車両保険免責金額 | 車対車免責0付 1回目5万円 2回目以降10万円 |
自転車事故補償特約 | あり |
対物差額修理費用特約 | あり |
一方で、対物差額修理費用特約を外すと
年間保険料は64,970円となります。
その差は年間で590円です。
年間600円くらいの保険料UPなので
事故相手の為に、つけておくもよし。
それでも保険料は抑えたいから
削るのも、特約なので自由です。
個人的には、もしも事故相手が
自分の立場だったとしたら
修理してでも乗り続けたい車なのに
時価額が低すぎて修理できないのは
悲しくなるので、特約を付けています。
まとめ 対物差額修理費用特約は相手のための特約
ポイントを纏めますと
- 対物賠償保険では事故相手の車の
時価額までしか補償されない。 - 相手の車の修理費が、時価額よりも
オーバーすると、示談交渉が進まない
ことがある。 - 法律的には、時価額以上に支払う必要はないが
円満な事故解決のために対物差額修理費用特約が
用意されている。 - 相手が修理してでも乗りたいなら
この特約で、追加で差額修理費を支払える。 - 特約追加しても年間数百円の保険料UPで済む
自動車保険は他の保険と違って、
相手の身体やモノを壊したときの賠償する
役割があります。
それは、回り回って自分の身に降りかかる
かもしれません。
年間数百円の保険料増が気にならなければ
対物差額修理費用特約は付帯すると良いですね。
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同じ補償内容でも、自動車保険の保険料は、保険会社によって異なります。
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- ノンフリート等級
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